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インターネットやデジタル社会を支える現在の暗号技術(RSAや楕円曲線暗号など)は、古典コンピュータでは解読が非常に困難な数学的問題に基づいています。
しかし、量子コンピュータが実用化されると、その圧倒的な計算能力によってこれらの暗号は短時間で解読可能になると予想されています。
こうした「量子脆弱性」への備えとして、ポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography, PQC)が登場しております。今回はそちらについて学びます。
ポスト量子暗号は、量子コンピュータでも解読が困難な数学的問題に基づいて設計されています。主な方式には以下のようなものがあります。
これらは、用途や実装環境に応じて使い分けられます。
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は2016年からポスト量子暗号の標準化プロジェクトを進め、2024~2025年にかけて「Kyber(ML-KEM)」「Dilithium」「SPHINCS+」の3種をFIPSとして正式採用しました。今後、政府や企業での導入が加速すると見込まれています。
また、GoogleやAWS、NordVPN、Zoom、CloudflareなどのグローバルIT企業も、PQCの実装や検証、サービスへの組み込みを積極的に進めています。
「量子暗号」は量子力学の原理を利用して鍵配送などを行う技術であり、「ポスト量子暗号」は数学的な難問を基盤とし、既存の通信インフラに組み込みやすいという違いがあります。
項目 | 量子暗号 | ポスト量子暗号 |
---|---|---|
原理 | 量子力学 | 数学的困難性 |
目的 | 絶対安全な鍵配送 | 量子コンピュータ対策 |
主な用途 | 特定用途(高コスト) | 現行システムの置き換え |
技術の成熟度 | 一部実用化 | 標準化・実装が進行中 |
ポスト量子暗号は、量子コンピュータ時代における情報セキュリティの新たな基盤です。
標準化と実装が進む2025年現在、官民問わず早期の対応が求められています。
備えあれば患いなし、と言いますが、量子コンピュータが一般的になった後では遅いんでしょうね。。。